2013年7月20日土曜日

"ててんてぬぐい" ができるまで


 みなさん、こんにちは。


今日はいきなりですが、下の画像から・・・


手にちなんだ絵が、た〜くさん並んでいるのが見えるでしょうか?
(画像が小さくてすみません!)

これは、 "ててんてぬぐい" の原案です。

"ててんてぬぐい" とは、
ボランティアで運営されている手から手へ展の関連企画や
その運営費用をまかなうために、展覧会場や関連企画開催ギャラリー、
または協力店舗で販売している、手展のオリジナルグッズです。


今日はその "ててんてぬぐい" が生まれた日、
2013年3月14日にタイムスリップして
参加作家の篠原晴美さん、早川純子さん、山福朱実さん
てぬぐい作りを依頼した旭染工さんを訪れたときのレポートと一緒に、
愛嬌たっぷりの "ててんてぬぐい"ができるまでを
ぜひ、ご覧いただきたいと思います。

手づくりの染色の作業工程や、
使われる機械や道具もとても興味深いですよ〜。


それでは、てぬぐい作りの はじまり はじまり〜




"ててんてぬぐい"ができるまで

旭染工見学へ 文:山福朱実



2013年3月14日


てぬぐい制作をお願いした、旭染工に見学へ。

上は、シルクスクリーンの要領で生地に糊をつける
作業をする職人さんへの指示書です。

「柄が細いので、つぶれたり、くわれないように」
「染色作業は見学したいとの事」

と書いてありますね。ふふふ。



染料(化学染料です)の色を決めているところです。

一番奥の左端が橙の決定色。

その手前に私が持ち込んだ「日本の伝統色」カラーチップ(飴色)が
置かれていますが、もうそのまんまの良い色が見つかりました。





藍も6種くらいあって悩みましたが、

職人さんと相談しながら明るめの藍に決定しました。



シルクの要領で枠に張った版で糊を刷っています。

枠もスキージー(桧)もすべてがオリジナルの特注品だそうです。
版を枠に固定する画鋲まで特注!

枠に張った版、手拭いの白い生地、
手前の大きなボウルに入った糊、その端にスキージー。

たまりませんね、まったく!



ところでこの版、和紙を何枚も張り合わせた
厚めの紙を柄に合わせてカットし、
粗織りの絹を一面に貼って漆を塗る事で固定します。

この作業を踏むことで版は約4000枚の刷りに耐えられる強度となるのです。
同じ日本人であることが誇らしくなる技術です。



2〜30枚重ねて糊を刷った生地は、
少し時間をおいてから染めに入ります。

生地を数十枚折り重ねたままの状態で、
専用ジョーロで染料をかけていきます。

ちなみにこの職人さんはうら若き女性。

私も働きたくなります〜と言うと、真面目な社長さんは

「この仕事は重いものを沢山持って体力が要るから、
女性は染めをやりたいって入ってきてもなかなか難しい。
結局、生地をたたんだり巻いたりの作業になっちゃうんだよね」

と。がっくし。



こうやってまんべんなく何度も染料を回しかけていきます。

この作業、延々と続くわけです。



ひたひたにかけた染料を下から圧力をかけて飛ばします。

これ、言葉で説明するのは難しい…

機械でシュパー!って水分を抜いてしまう感じ。

そうすると、ほら!我らが「ててんてぬぐい」が
その姿を現しましたぞよ〜♪



梁には所狭しと染料専用ジョーロが並んでいます。
柄の細かさによって大きさを使い分けるのだそうです。

この道具も作る職人さんが減ってきていると社長さんが嘆いていました。

それについては、糊を作る職人、版を彫る職人などなど…
手拭いが出来上がるまでの行程を分業で職人化してきた工場が
次々になくなっているそうで、旭染工一社が忙しくても、本染めの
工場がもっとたくさん生き残っていないと糊工場や版職人はやっていけない。
ある程度の数で動いていないと全体が成り立たないのだ
とおっしゃっていました。



溶かした染料を置いている場所。

昔は手拭いの色はだいたい決まっていたけれど、
最近は多様な色を要求されるので、
それに合わせて化学染料が揃っていったとか。

染料の性質によって、お湯、水、と使い分けています。



染め上がった生地は少し時間をおいて馴染ませます。

この過程で、なぜか潰れていたはずの細い柄の線に色が
浮き出てきたりもして…面白かった。

このまま乾かさずに水洗いの行程に入ります。



なんだか大掛かりな水洗いの機械。

昔は工場の前に流れる川でやっていたそうです。



今日の午前中は雨だったので、外に干せない場合の乾かし方
というのもオマケに見せてもらえることになりました。

この巨大な機械が熱を出しながら
生地を巻き込むようにして乾かしていきます。

電気代かかるって、社長さん。

この機械についても結構熱く語っていたので、
きっと高かったんだろうなって…
余計な心配をしてしまったじゃないですか。



乾燥機。なぜか一緒に髑髏の手拭いが…



ここは生地を干したり巻き取ったり
たたんだりする場所のようです。

窓の外には川が流れており、昔は川には堤防がなく、
窓の外はすぐに川。そしてこの窓に固定した生地を
川に流して洗っていたそうです。

そんな名残りをモロに感じる、
歴史の刻まれた趣のある木造の建物でした。



外に干してます。上に人がひとり乗ってます。怖。

ててんてぬぐいは右から2つめ!

右から、髑髏、ててん、招き猫、山脈、てな感じ。
白生地は染めの前に水通しをしているところです。



干されたててんてぬぐいは、もう1色のほうの行程も見たいなぁと
後ろ髪を引かれながら工場を去る我々を見送るように、
髑髏や招き猫たちと一緒に強風にはためいていらっしゃいました。


山福朱実




こうして人から人へと受け継がれ、磨かれて、
育てられた職人技から "ててんてぬぐい" は生まれました。

みなさまのお手元で汗をぬぐったり、頭に巻かれたり、
ときには涙をふいたり、すてきな袋になったり、
ティッシュを包むケースになったりして、
たくさんたくさん みなさまのお役に立ちますように!

どうぞよろしくお願いいたします。

(さかた)





"ててんてぬぐい" 一枚 1,620円(税込)

手から手へ展の展覧会場や関連企画開催ギャラリー、
各地の協力店舗にて、ご購入いただけます。
また売上げは、ボランティアで運営されている
関連企画とその運営費用にあてられ、残金はすべて、
震災にあった子どもたちを助ける団体へ寄付させていただきます。

ててんてぬぐい制作・デザイン / 山福朱実・鈴木麻衣子

*ご注意ください*
手ぬぐいの色落ちは深料(染料の粒子)の特性です。
注染では生地を30〜40枚ほど重ねて裏表を一気に染めるため、
一番上と下の生地が平均になるように通常よりたっぷりかける
ことになり、余分な深料が生地につく結果になってしまいます。
初回の洗濯で色落ちが激しい場合がありますが、繰り返すうちに
徐々に色落ちはおさまっていきます。以上の特性を踏まえ、
他の衣料と一緒に洗濯なさらないよう呉々もご注意ください。



おまけ
「ててんてぬぐいで作るあずま袋」

おまけに、ただいま手から手へ展を開催中の
ちひろ美術館・東京、武石さんから教わった
あずま袋の作り方をご紹介します。

作り方はなんと2カ所を縫って、持ち手のところをしばるだけ!
ぜひ、試してみてくださいね〜。









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